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夏服 杉原理生


JUGEMテーマ:BL小説

そうしてぼくは──また何度でも先輩を好きになる。
どうしてあれほど空を見つめていたのか、いまならわかる。
あのころ、なにかに祈るようにして、奇跡が起きるのを待つような思いで、先輩が好きだった。

高校生のまぶしいような恋物語でした。
自転車通学の途中に立ち寄るコンビニで毎朝出会う「早食いで、不味そうにパンを食う、変な先輩」。
気になって仕方がなくて、いつの間にか恋になっています。
特別な事件があるわけじゃなく、恋する高校生の日常が一人称で率直に語られていて、それがとてもよかったです。
あとがきで杉原さんが「茅原はソーダ水みたいに弾けてかわいい感じ、先輩は憎らしいほど爽やかな男前を目指して書きました」とありましたが、ほんとうにそんな二人でした。
特に先輩。この作者が書く攻めくんは、若くても人間ができてて優しくて男前です。
主人公と一緒になって先輩を好きになってしまいそうな、そんな小説でした

at 00:18, トモ, 杉原理生

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夜をわたる月の船 木原音瀬

JUGEMテーマ:BL小説

 「全部話したよ。今度は君が約束を守る番だ」
 両手をついて、ゆっくりと立ち上がった男は、笑うように目を細めた。
「さあ、出ていけって言ってごらん」
 氷の指でなぞられたように、背筋がゾクリとした。

攻めの河瀬は人間が小さい奴でした。
商品企画部への異動を餌に上司柴岡に体を要求され、シャワーを浴びながらの「ホモの変態。クソ野郎ッ」の悪態も小声で、聞こえないように気を使いながらという。(^^;)
まあ、本当に嫌なことを我慢して、自己嫌悪にまみれながらそれ以降も過ごしたというのに、結果異動したのは別の人だったというのは気の毒ではあるけど、柴岡を殴りとばして(ここまではよし)車道によろけたところを車にひかれたのを見て、逃げてしまう。(これはアウト)
結果的には柴岡は死なずに3ヶ月後に退院しますが、その直後に河瀬は商品企画部への異動を告げられます。
「君は若くて実績もないけど、前部長の強い推薦で決まった」と。
合わせる顔もない河瀬ですが、北海道に転勤になっていた柴岡と再会。
やがて会社をやめるという柴岡と東京で再び会い、柴岡の病んだ心を知ります。
健康保険証やカードをみんな捨てて、身元不明で死のうとする柴岡を、どうしても放っておけない河瀬。
死のうと決めていた日に死ねなかった柴岡は、目が見えなくなり、ますます放り出せなくなってしまいます。
嫌だけど一緒に暮らす日々の描写がリアルで、木原さんらしさに溢れてました。
柴岡は最初から河瀬を好きだったんでしょうが、河瀬の方は結局ひどくやっかいな病んだ男に絡め取られたような気がしてなりません。この後も結構苦労しそうな気がします。
擬態した状態でお付き合いするにはいい人なんですが、本性は恐い人ですからねえ。

at 17:11, トモ, 木原音瀬

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幻の恋人 大鳥香弥

JUGEMテーマ:BL小説


 一度でいい。抱いてほしい。一生大切にする恋の形見が欲しい。それがもらえたら、僕はその記憶を一生胸の奥底に大切にしまって生きていくから。

前回に続いて、親友に対して秘めてきた片想いの話です。これも大好き。
小学生の頃から親友の信一を密かに想い続ける俊。
何も知らない信一は、恋の悩みを俊にだけは打ち明け、俊の方は親身になって相談に乗るふりをしながら、心の底では信一の恋がうまくいかないようにと願うような生活を続けてきました。
親友だからこそ、好きになった女の子のことなんかもみんな知ってしまうという、なかなか切ない片想いです。
女の子に恋する信一の恋人になど、自分は絶対になれないとあきらめてきた俊だけど、ある日、カップルで参加するイベントに明日行けそうな女の子を紹介してほしいと頼まれた俊は、自分がその女の子、のぞみになることを決心します。一日だけ、形だけでいいから、手をつないで恋人みたいに過ごしてみたいという願望に負けたわけです。
女装した俊を見たら、笑うか怒るかだろうと思っていたのに、なんと信一は少しも気付かず、それどころかのぞみに恋をしてしまいます。そして、そのイベントで偶然会った信一の従兄正樹までが俊に恋してしまい……。
この正樹が、この話で重要な役割を果たしていて、この人なしではこの恋は成就しなかったでしょうね。
のぞみの正体を知って激怒する信一をいさめるのも、傷ついて泣く俊をなぐさめるのも、果ては二人の仲をとりもったのも、結局この人でした。
彼が下心を持って携帯してきたものまで、バッチリ役に立ってしまったし。(笑)
「君が好きだから、いっそ信一を縛りつけてここに持ってきて、プレゼントしたいくらいだ」という正樹のセリフに惚れました。
正樹はちょっとかわいそうだったけど、俊は長い片想いが叶ってよかったね、と幸せな気持ちになりました。

at 10:54, トモ, 大鳥香弥

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藍より甘く 一穂ミチ

JUGEMテーマ:BL小説


 「帰りたくない。ずっとここにいたい。ふたりになれなくてもいいから、ほかの誰かを好きでもいいから。どんなに疲れても、腹が立っても、入江の近くにいたいよ」
「……何でそういうことを、ここまで追い詰められないと言えないわけ?」

秘めていた片想いが叶う話は大好きです。
大学生の暁行は、友達のハルに、突然観覧車の中で告白されて戸惑います。
ハルのことはずっと付き合っていきたい友達だと思っていたのに、相手は自分のことを恋の対象として見ていた。
ちゃんと彼女もいて、男相手に恋愛なんか考えられない暁行は、その戸惑いをブログにつづります。
このブログは、読者の想像通りの役割を果たすんですが、この辺りもうまいです。
暁行視点だけど、読者にはハルの切ない感情がちゃんと伝わってきて、心の中でハルを応援してしまいました。
藍染めの熟練した技を持ちながら、その家業を捨てて、妻子のために慣れない旅館業に入るハルの兄の話もとても現実的で、派手さはないけれど、とてもいい話でした。

あとがきの後に収録されている「愛より甘く」は本当に甘いおまけストーリーでした。
切なさの後はちゃんと甘さが入っている用意のよさもgood!

at 18:32, トモ, 一穂ミチ

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花の慟哭 夜光花

JUGEMテーマ:BL小説


 「巴…、巴…、信じられない、俺は夢を見ているのか…?」


「花の残像」の続編です。
続編と言うよりは、残像と慟哭の二冊でひとつのお話と言っていいと思います。なので、かならず「花の残像」を先に読むようにお勧めします。


狩りの獲物として銃で撃たれ、生きながら獣人に喰われる巴の囚われの生活はあまりにも悲惨でした。
冒頭は死んだと思っていた巴に再会したときの、須王のセリフです。
救い出されてからも、その傷はなかなか癒えることは難しく、巴の受けた仕打ちを知ったときの須王の怒りも激しかったです。
組織内でトップに立った須王ですが、反乱分子の活動や、巴を狙う者の動きなど、気の休まる暇もありません。
そうして起こるヨハンとの最後の戦い。
ヨハンの真意は最後に明らかになりますが、なるほどと思うよりは、深すぎる思いはやっかいだなと思ってしまいました。
とても面白かったです。

at 15:16, トモ, 夜光花

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花の残像 夜光花

JUGEMテーマ:BL小説

 「巴の喜ぶことしてあげたい。君が楽しいこと、嬉しいこと、したかったこと全部をさせてやりたいよ。だから何でもいい。わがままを俺に言ってほしい」

「凍る月」シリーズのスピンオフ作品。獣人である須王と、餌である巴の物語です。
五歳のときから12年間、足枷をつけられ、鉄柵で囲まれた研究所で研究材料として生きてきた巴が、囚われの獣(須王)と出会い、須王は巴から力を得て自由になり、後に巴を研究所から救い出します。
力もあり、厳しさと優しさを併せ持つ須王が、小さな巴を一途に愛している姿がとてもいいです。
でも、「須王に殺されるなら本望だ」というほど須王に傾倒している者の裏切りを受け、巴は再び囚われの身に。
けなげで幸せ薄い巴が幸せになりますようにと祈らずにはいられない展開でした。

at 14:28, トモ, 夜光花

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はつ恋 榎田尤利

JUGEMテーマ:BL小説

 「久我山、しっかりしてくれ……ッ」
 泣くなよ、先生。
 みっともないなあ。基本、泣き虫なんだよな、あんた。
 伝えなくっちゃ。
 せめて、ひとつだけ。あんたのことが大好きだから、どうか死なないでと伝えなくちゃ。
「せ……」
 なのに、ひと言呼ぶことすらできない。

外見はエリートでちゃんとした人間だけど、内面はエゴイストな弁護士久我山が、行きたくもない高校時代の担任曽根の通夜に出席した直後、高校時代にワープしてしまう物語。
ワープというのとは違うのかな。高校生の体の中に、31歳の心が宿り、2度目の高校生活を体験します。
いじめられている女子、教師の行動、両親の不仲と離婚、同じものを見ても高校時代とは見方が違っていて、以前は気付かなかったことに気付きます。
そんな中で、久我山は31歳にして初めての恋を経験します。(外見は高校生ですが)
それなりにもてていたくせに、初恋です。
ワープ直前に、事故に遭ったのは確かなので、もしかして死んでるのじゃないかと、ちょっとビクビクしながら読みました。
とってもいいエンドで、読後感もよかったです。
というわけで満点。

at 10:01, トモ, 榎田尤利

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花芽と狼 須和雪里

JUGEMテーマ:BL小説

 瑠璃若は、泣きながら微笑んで、小さな獣を手に掬った。
「おまえがどんなものであっても、私はおまえが大好きだよ」
 ウロは、さもいやそうに、もうひとつ鼻を鳴らした。


平安ファンタジーです。
人外×少年なのかなと思いながら読み始めましたが、違いました。
表紙絵にある九歳の稚児瑠璃若(花芽)と狼は、主人公ですがカップルではありません。
狼のウロは、普通の人の目には見えない、手に乗るほどの大きさですが、不思議な力を持っています。
その力で瑠璃若と瑠璃若が仕えている高僧冬弦はしばしば助けられますが、カップルはその冬弦と、他の僧の稚児文殊丸です。
最後に明かされるお互いに知らなかった花芽と狼の過去は、とても悲しくて泣けました。


前に読んだ『サミア』もとてもよかったし、次も早く読みたいけど、寡作な作家さんらしいので、気長に待つしかないですね。
早く出るといいなあ。

しばらく放置しててすみません。
ちょっと復活できそうです。
読むのは読んでいたので、少しずつ書いていきます。
今後ともよろしくお願いします。

at 08:54, トモ, 須和雪里

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コーンスープが落ちてきて 松前侑里

JUGEMテーマ:BL小説


 わけがあるなら、誰か教えてほしい。
どうしていつも、自分のことを好きになってくれる人を好きにならずに、好きになっちゃいけない人のこと、こんなにも好きになっちゃうんだろう……。

探偵の叔父を密かに思い続けている高校生が、口は悪いけど本当は優しい上級生和真に出会い、惹かれていく話。
実はこれは読む前に、「主人公は叔父のことがずっと一途に好きという設定だけど、妻がいる人と付き合っている」という内容を知ってから読んだのでよかったです。
知らないで読んだら、叔父が出てきて、上級生が出てきた後、唐突に妻がいる男とホテルのベッドの上で会話しているのを見て、「何?この主人公」っていう感想になったと思います。
尻軽な主人公というわけじゃないし、まあ、そういうのもありだろうとは思います。
自分をちゃんと持っている上級生和真がなかなか魅力的。
叶わないとわかっている恋ばかりしてしまう切なさがよかったです。

at 17:24, トモ, 松前侑里

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未完成 凪良ゆう

JUGEMテーマ:BL小説


 

欲しいと手を伸ばすことが、相手を壊すことになる。強く抱きしめれば自分の物になると信じて、逆にひびを入れていることに気付かなかった。なんて馬鹿なんだろう。


前回に続いて、この作者さんを読んでみました。
家庭崩壊で家に帰りたくない高校生瀬名×ゲイの美人教師阿南。
10歳の年の差は、お互いに厚い壁ですが、瀬名の方がその壁を何とか壊そうと下手にあがいて、その悪あがきがほぼ裏目に出ます。特にかっこつけのために趣味でもないアングラ劇を見に行くところはあんまりアホすぎて胸が痛みました。
先生の方も、いたたまれなかったんじゃないかと、つい双方に同情してしまいました。
本当に、何て馬鹿なんだろう。
素直に接していれば、もう少しお互い楽なのに。
でもそうできないところが若さなんでしょう。
数年後、美容師の卵になった瀬名は、社会人として少しは成長していてよかったです。
でも、やっぱりまだまだだ。
先生を包み込めるほど大きな男になるのは無理かも。
まあ、先生の方はそんな未熟さも可愛いんでしょうし、これでいいのかな。
面白かったです。

at 23:47, トモ, 凪良ゆう

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